01かぜと花粉症。鼻の症状が似てるけどどう違うの?
かぜと花粉症は原因が違います。
かぜによる鼻水、鼻づまりは、かぜのウイルスが鼻の粘膜に感染することで、炎症が起きます。一方、花粉症は花粉が鼻の粘膜に付着して、花粉の成分に対するアレルギー反応が原因で炎症が起きます。実は鼻症状についても違いがあります。かぜのひき始めは、水っぽい鼻水、くしゃみ、鼻づまりがあって花粉症と区別がつきにくいですが、数日たつとくしゃみが治まってきて鼻水がドロッとしてきます。花粉症では水っぽい鼻水とくしゃみがずっと続きます。その他、目のかゆみがあれば花粉症、実際に熱が出ていればかぜを疑うというように他の症状があるかどうかでも判断することができます。
02花粉が飛ぶ時期に、かぜか花粉症かわからなかったらどうすればいい?かぜ薬をのんでもいいの?
自分で正確に判断するのは難しいですが、少しでもかぜかもしれないと思われるのであれば、かぜ薬をのんでもかまいません。
鼻水、鼻づまりを緩和する成分が含まれているかぜ薬であれば、花粉症であっても鼻の症状はある程度緩和されます。しかし、かぜは、一般に7~10日で回復するものであり、かぜ薬は長期にのみ続けるものではありません。鼻症状が長く続く場合は花粉症の可能性があるので、かぜ薬の服用は中止しましょう。また、鼻症状以外にかぜの症状が全くない場合は鼻炎薬を服用する方がよいでしょう。
03花粉症と新型コロナウイルス感染症はどう違う?
かぜと新型コロナウイルス感染症は初期の症状がよく似ており、区別がつきにくいと思います。同じように花粉症とも区別がつかない場合も考えられます。
新型コロナウイルス感染症は、だるさや微熱といったかぜに似た症状が見られることが多く、特に37.5°C以上の発熱が4日以上続いたり、息苦しさ等が見られることが特徴です。また、全身症状が軽くても、嗅覚味覚障害が起こることもあります。花粉症は鼻症状や目のかゆみなどが特徴ですが、中にはだるさなどがある人もいます。ただ原因となる花粉の飛散は、その日の天候によって変化しますので、日によって症状に差が見られるというのも花粉症の特徴です。症状が悪化する場合は新型コロナウイルスの感染が疑われるかどうか、厚生労働省のHPなどで相談の目安を確認し、保健所などに設置される相談センターや医療機関に相談しましょう。
04花粉症が増えている理由は?
近年、花粉症が増えている背景には、地球温暖化などによるスギ花粉の増加や、食生活の変化などが関係していると言われています。そして、昔と比べると日本の環境が清潔になって病原体との接触が減ったために体の免疫機能がよりアレルギーを起こしやすい状態になっていることも原因と考えられています。また、アレルギー症状は自律神経と深く関わっているため、様々なストレスによって自律神経の調節が乱れ、花粉症の症状も出やすくなります。
05花粉症になる人とならない人は何が違うの?
遺伝的にアレルギー体質を持っているか否かが、ひとつの分かれ目になります。
それに加えて、食生活を始めとする日常生活の要素が深く関わっています。また、花粉を吸いこむ量が多ければなりやすく、少なければ発症しません。そのため、花粉が多く飛んでくるところに住んでいる人は花粉症になりやすいと言えます。スギの木の少ない都市部でも花粉症の人が多くいるのは、アスファルトで舗装された場所が多いため、地面に落ちた花粉が吸収されず、風で何度も飛散してしまうためと思われます。
06お年寄りに花粉症が少ないのはどうして?
戦後10余年が経った1960年代になるまで、国内で花粉症は見つかっていませんでした。
現在のお年寄りに花粉症の人が少ないのは、スギ花粉の飛ぶ量が少なかっただけでなく、当時の日本人の食生活や住環境がアレルギー体質になりにくくしていたからです。また、年をとると免疫の力が低下するため、花粉に対しても敏感に反応しなくなり、若いころほどひどくなくなる場合もあるのです。現在壮年層の花粉症の方はそのまま花粉症を老年期に持ち越しますので、今後はお年寄りの花粉症が増えてくる可能性もあります。
07ある年、突然花粉症になるのはどうして?
花粉が体内に入ってもすぐに花粉症になるわけではありません。
アレルギー体質の人は、花粉が入ってくると、これに対応するために抗体(IgE)を作ります。この抗体の量が一定の水準に達すると発症します。そのため、これまで人生で吸い込んだ花粉の量が関係してきます。花粉が多い地域では子供の発症が多いですし、これまで花粉の飛散しない地域に住んでいた人は花粉の飛散する地域に引っ越してしばらくすると発症することがあります。一般には大量に飛散した年に新たに発症する人が多いと考えられます。
08花粉症って予防できるの?
花粉を浴びないようにすることが一番の予防になります。花粉から身を守り、シーズンを乗り切るための予防法をご紹介します。
- 風の強い晴れた日は外出を控えめにしましょう。特に昼前から午後3時ころまでが花粉の飛ぶピークです。この時間帯だけでもなるべく室内にいましょう。
- 顔の周りを守るため、マスク、メガネやゴーグル、スカーフ、帽子を利用しましょう。
衣服は花粉がつきにくいスベスベした素材のものを選ぶとよいでしょう。
- 家に入る前は玄関先で、衣服や髪、持ち物についた花粉をはらいましょう。
- 帰ったら、手・顔・目・鼻を洗い、うがいをしましょう。
09花粉症って治るの?
いったん花粉症になってしまうと自然には治らないので、花粉を浴びる限り症状は出ます。でも花粉がない地域に引っ越して長くたつと反応は弱まります。花粉のエキスを少量ずつ体内に入れて体を順応させる免疫療法は、一部の患者さんでは完治することもあります。この免疫療法は、医療機関で行われていますので、興味のある方は近くの耳鼻科などでご相談することをおすすめします。
10花粉症を起こす植物には何があるの?花粉が飛ぶ時期に違いはある?
日本で一番多い花粉症はスギ花粉症、次いでヒノキ花粉症です。
スギは2月から4月下旬まで、ヒノキは3月初旬から5月初旬が飛散期です。そのあとイネ科の花粉が6月半ばまで飛散し、そのあと秋にヨモギ、ブタクサの花粉が飛散して9月末ぐらいまで続きます。スギ花粉は11月にいったん寒くなったあと暖かくなった日に少量飛散することがあります。
北海道や東北では5〜6月にかけてシラカバの花粉が飛散することも知られています。
主な花粉の飛散時期