鼻づまりで苦しくて眠れない…原因と対策は?

かぜの症状などで両方の鼻がつまると鼻呼吸が十分にできないため、寝苦しい経験をした人も多いはず。また口呼吸によるのどの乾燥や頭痛を招いてしまう恐れもあります。専門家監修の元、できるだけ早く治したい鼻づまりについて、原因や対処法を解説します。
- 監修
- 小田原医師会
永武 毅先生
目次
なぜ夜に鼻づまりが起こりやすい?考えられる原因
鼻づまりが苦しく眠れない夜に。症状をやわらげる対処法
なぜ夜に鼻づまりが起こりやすい?考えられる原因
鼻づまりは、鼻粘膜の血流が増加して腫れたり、過剰な鼻水により鼻腔が狭くなることによって起こります。鼻づまり症状の原因はさまざまですが、ここでは夜につまりやすくなる原因について紹介します。
自律神経(交感神経・副交感神経)の影響

鼻粘膜の末梢血管は自律神経の影響を強く受けています。自律神経には交感神経と副交感神経という相反する作用を持つ2つの神経があり、体を活発に動かすときに働く交感神経と、体を休めるときに働く副交感神経がバランスを取りながら体の状態を調節しています。
鼻粘膜の末梢血管は、夜になると副交感神経が優位になり拡張されます。そのことで粘膜が腫れ、鼻づまりの症状が起こりやすくなるのです。
冷気による刺激
外気の急激な温度変化や夜間に室温が低い場合などは、冷気による刺激が副交感神経に影響し、鼻水や鼻づまりなどの鼻症状を引き起こすことがあります。
鼻づまりが苦しく眠れない夜に。症状をやわらげる対処法
鼻を温める
寒い日が続く季節は、血行不良により鼻の粘膜に血液がたまって鼻腔(鼻の内部)が狭くなるので鼻づまりが増えます。血行を改善し鼻腔を広げるために、鼻を温めることは簡単で即効性の高い方法です。温めたタオルを鼻の上に当てると、蒸気が鼻の中に取り込まれ鼻の通りが良くなります。
体を温める
冷気による刺激で鼻症状が現れた場合は、体が感じる寒暖差をなくすように工夫しましょう。特に首には太い血管が通っているので、温めることで顔まわりの血流が促され、症状が起こりにくくなります。
部屋を加湿する

鼻の粘膜は細菌やウイルスなど異物が体内に入るのを防ぐ役割があります。中でも鼻水は、鼻の中に入ってきた異物を外に洗い流す役割があるのですが、室内が乾燥していると鼻水の水分が奪われ、その防御機能が低下してしまいます。加湿器を使ったり、洗濯物や濡れたタオルを部屋に干したり、カーテンに霧吹きをかけたりして、室内の湿度を調整しましょう。湿度の目安は50~60%です。
わきの下を圧迫する
液体の入ったペットボトルなどを、つまっている鼻の反対側のわきに挟んで20~30秒間グッと力を入れることで、多くの場合、鼻の通りがよくなることがあります。これは圧迫によって体の反対側にある交感神経が刺激されることによります。両方がつまっている場合は片方ずつ交互に行ってみてください。
寝る姿勢の工夫
ペットボトルなどを使って体の側面を刺激する方法と同じ原理で、寝るときに鼻がつまっている側を上にして横向きに寝ると、下側のわきが圧迫されて鼻の通りが良くなることがあります。
また、鼻づまりは頭を少し起こしている方が楽になることがあります。枕やクッションなどを工夫して、上半身を少し上げた状態で寝るのも一つの方法です。
症状緩和のために市販薬を使う
鼻水や鼻づまりなどの症状は病原体から体を守るための防御反応です。しかし、鼻づまりになって口での呼吸が増えると、乾燥した空気がそのまま体内に入るため、のどなどでウイルスが繁殖しやすくなります。
もし、かぜをひいてしまったら、睡眠をしっかりとって体力の回復に努めることが大切です。
しかし、鼻づまりなどかぜ症状がつらくて眠れないと、かぜが長引いてしまったり症状の悪化につながる可能性もあることから、市販のかぜ薬などを使って、早い段階から症状を抑えることも検討しましょう。
鼻づまり(かぜの諸症状)に有効な成分の例
| 働き | 代表的な成分例 | |
|---|---|---|
| 抗ヒスタミン成分 | アレルギー症状を引き起こす神経伝達物質の一種、ヒスタミンの働きを抑え、鼻水・鼻づまりをやわらげる | ジフェンヒドラミン塩酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩など |
| 交感神経興奮成分 | 鼻粘膜のうっ血状態を改善し、鼻づまりをやわらげる | プソイドエフェドリン塩酸塩、塩酸テトラヒドロゾリン、ナファゾリン塩酸塩など |
| 副交感神経遮断成分 | 神経伝達物質の一種、アセチルコリンの働きを抑え、鼻水の分泌を抑制する | ヨウ化イソプロパミド、ベラドンナ総アルカロイドなど |
市販薬には、例えばカフェイン類のように解熱鎮痛成分の効果を高める働きがある一方で、眠気を抑える成分が入っているものがあります。睡眠をしっかりとって体力の回復に努めるという点では、そういった成分が含まれていないものを選ぶのも一つの方法です。
また、市販薬では症状の緩和や改善が見られないときは、医療機関での治療や手術が必要な場合ががあります。早めに受診するようにしましょう。