【風邪コラム】症状・対処法を解説

せき

せき(咳)が止まらない原因は?対処法と長引く場合の受診目安

せき(咳)をする女性のイラスト

「熱はないのにせきが続く場合の対処法は?」「乾いたせきが長引いて眠れない」など、長引くせきがつらいと感じる方は多いでしょう。

せきは、医療機関を受診する理由として、最も多い症状の1つと言われることがあります。

しかしその一方で、せきが8週間以上続いているのに医療機関を受診していない人が半数前後に上るという調査結果もあります。

  • ※Tobe K, et al. BMJ Open Respir Res. 2021;8(1):e000832.

せきが止まらない原因や自宅でできる対処法、受診の目安について解説していきます。

監修
函館五稜郭病院 臨床顧問 
加地 正英先生

この記事からわかること

せきが止まらない場合、症状の持続期間から、可能性のある病気の見当をつけることができます。また、すぐに受診すべき危険なせき、緊急性はなくても医師に診てもらうべきせきの見分け方もわかります。そして、自分で対処する場合の市販薬の選び方や、家でできる対策についても理解できます。

せき(咳)が止まらないときに考えられる病名

せきが止まらない場合、その症状が続いている期間によって、大きく三つの種類に分類されます。

  • 急性のせき(急性咳嗽(がいそう))…3週間未満のせき
  • 遷延性のせき(遷延性咳嗽(がいそう))…3週間以上8週間未満のせき
  • 慢性のせき(慢性咳嗽(がいそう))…8週間以上続くせき

症状の現れ方には、個人差があり、同じ人であってもその時の体の状態によっても異なることがあります。せきの症状だけの判断は難しい場合もあるでしょう。

さらに、原因が一つではなく、複数の病気が重なってせきが現れていることも考えられます。

以下に、せき症状の持続期間別に考えられる病気を挙げますが、上記の理由から、あくまで一つの目安として考えると良いでしょう。

急性のせき(咳)|(急性咳嗽(がいそう))

急性のせきとは、症状が現れてから3週間未満の場合を指します。呼吸器の感染症によるものが多い傾向があります。

急性のせきの主な原因は以下の通りです。

風邪(普通感冒:ふつうかんぼう)

風邪の原因:風邪は、さまざまなウイルス(一部は細菌)による上気道(鼻やのど)を中心とする感染症です。
せきの特徴:のどの違和感に続いて、せきが出るようになることが多いです。風邪自体は通常、1週間から10日ほどで治りますが、せきだけが長引くこともあります。

インフルエンザ

インフルエンザの原因:インフルエンザウイルスによる感染症で、上気道だけでなく下気道(気管から肺にかけて)にも炎症が起こることがあります。
せきの特徴:発熱や関節痛、筋肉痛などとともにせきが現れます。下気道に炎症が及ぶと、「湿ったせき(痰を伴うせき)」になります(乾いたせきと湿ったせき(痰を伴うせき)の違いは後ほど解説します)。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)

COVID-19の原因:重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による感染症です。呼吸器以外に心臓や血管や全身にも影響が及んで、合併症が起こることがあります。
せきの特徴:風邪のような症状とともにせきが現れます。重症化すると呼吸困難などが生じ、迅速・高度な治療が必要になります。

急性気管支炎

急性気管支炎の原因:多くはウイルスや細菌の感染のため、そのほか、一部はアレルギーなどのために、気管支に炎症が生じる病気です。
せきの特徴:感染症による急性気管支炎では痰を伴うせきが多く出ます。

細菌性肺炎

細菌性肺炎の原因:肺炎球菌などの細菌が肺に侵入して起こる感染症で、高齢者に多い傾向があります。
せきの特徴:せきのほかに発熱や痰を伴うことが多く、息苦しさが生じることもあります。ただ高齢者では、微熱程度でも肺炎を起こしていることもあり、見逃される場合もあります。

急性副鼻腔炎(急性鼻副鼻腔炎)

急性副鼻腔炎(急性鼻副鼻腔炎)の原因:鼻の粘膜の急性の炎症で、感染症やアレルギーのために起こることが多い病気です。
せきの特徴:鼻水がのどに流れた時(後鼻漏が起きた時)に、せきが誘発されます。痰を伴うことが多いとされています。

遷延性のせき(咳)|(遷延性咳嗽(がいそう))

遷延性のせきは、せきが3~8週間続く場合を指します。遷延性のせきとしては、以下が該当します。

感染後咳嗽(がいそう)

感染後咳嗽(がいそう)の原因:呼吸器の感染症にかかり、その感染症を引き起こした原因のウイルスや細菌が除去された後にも、せきだけが長引く状態です。
せきの特徴:風邪などの感染症が先行し、その後に長引くせきです。痰を伴わないことが多く、その一方で、のどの違和感を伴うことがよくあります。

慢性のせき(咳)|(慢性咳嗽(がいそう))

慢性のせきは、せきが8週間以上続く場合を指します。急性のせきと異なり、感染症以外の原因によることが多いとされています。慢性のせきの主な原因を以下に挙げます。

喘息(ぜんそく)

喘息の原因:アレルギー体質などを背景として、気道に慢性的な炎症が起きる病気です。炎症のコントロールが十分でないと、呼吸困難の発作が起こりやすくなります。
せきの特徴:発作時には、呼吸困難や喘鳴(ぜんめい。ぜーぜーという呼吸音)とともにせきが出ることがあります。このような発作は夜半から明け方に起こりやすいことが知られています。

咳喘息(せきぜんそく)

咳喘息の原因:喘息と同じように気道の炎症が続く病気ですが、呼吸困難や喘鳴が生じることはあまりありませんが、重症な場合は息苦しくなることがあります。
せきの特徴:喘息と同様に夜半から明け方にかけてせきが出やすい傾向があります。
注意点:咳喘息は、喘息との鑑別が難しいものもあります。

後鼻漏症候群

後鼻漏症候群の原因:鼻水の分泌量が多い時に、その一部がのどの奥に流れ込んで気道を刺激してせきを引き起こします。急性副鼻腔炎でもこれと同じメカニズムによるせきが出ますが、慢性副鼻腔炎などの経過の長い何らかの原因で鼻の炎症が続いている影響によるせきを「後鼻漏症候群」として一括りにすることがあります。

せきの特徴:鼻水がまざった、痰がからむせきが多いです。

アトピー咳嗽(がいそう)

アトピー咳嗽(がいそう)の原因:アレルギー体質の人に多いせきの原因で、慢性的な気道の炎症が起こり、せきが出やすくなる病気です。喘息と異なり、喘鳴や呼吸困難は起こりません。
せきの特徴:せきにのどの違和感を伴うことが多いです。

呼吸器感染症(百日咳や結核など)

呼吸器感染症の原因:百日咳菌、結核菌、非結核性抗酸菌などの細菌感染症です。感染症に伴うせきは通常、「急性咳嗽(がいそう)」が多いものの、ここに挙げた感染症は別で、慢性咳嗽(がいそう)となります。
せきの特徴:病気の経過中は、つまり細菌が除去されるまでは、せきが長引きます。また結核では、後遺症としてせきが続くことがあります。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の原因:喫煙習慣などにより、肺の構造が変化してしまったりして、息切れ、呼吸困難、せきなどが現れる病気です。
せきの特徴:体を動かした時や朝方に、痰を伴うせきが出やすい傾向があります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の原因:肥満やあごの骨格が小さいことなどにより、睡眠中に呼吸が繰り返し止まってしまう病気です。
せきの特徴:いびき、夜間に途中で目が覚めやすい、日中の眠気といった症状が現れるほかに、せきを生じやすくなることがあります。

胃食道逆流症(GERD)

胃食道逆流症(GERD)の原因:胃の内容物(食べたものや胃液)が逆流してきて気道を刺激する病気です。
せきの特徴:胸やけやげっぷとともにせきが現れることがあります。食後すぐに横になると症状が現れやすいことが知られています。

心不全

心不全の原因:心不全は心臓のポンプ機能が低下してくる病気です。その影響で、肺を流れる血液から水分が漏れ出して肺に水が溜まりやすくなり、せきが誘発されます。
せきの特徴:横になってしばらくすると、呼吸困難などとともにせきが生じやすい傾向があります。

呼吸器のがん

呼吸器のがんの原因:がんの原因の全てが解明されているわけではないですが、呼吸器のがんについては喫煙習慣の影響が大きいことがわかっています。
せきの特徴:呼吸器のがんの一症状としてせきが現れることがあります。ただし、症状が現れ始めたら既に進行期であることが多いため、治療可能な時期での早期発見にはがん検診が欠かせません。

その他(副作用、環境の影響、上記以外の呼吸器の病気など)

その他の原因:何らかの薬の副作用(ある種の降圧薬など)や職場や生活の環境(粉塵、受動喫煙など)、ストレス、または間質性肺炎といった呼吸器のさまざまな病気が長引くせきにつながります。
せきの特徴:副作用なら薬の変更、環境の影響ならその調整、呼吸器の病気ならその治療が必要で、それらによって原因が取り除かれない限りせきが続きます。

せき(咳)が長引く場合、複数の要因が関わっている可能性もある

せきが止まらない理由は一つだけとは限らず、複数の原因が同時期に重なっていることもあります。

国内のある大学病院で、3週間以上続くせきのために受診した患者の原因を調べた結果、複数の原因が重なっていると診断された人が38.1%となり、最多を占めたという報告※もあるほどです。

  • ※Kanemitsu Y, et al. Allergol Int. 2019;68(4):478-85.

「せき=ただのかぜ」と安易に考えずに、セルフケアや市販薬を取り入れてもなかなか落ち着かない場合には、医療機関を受診しましょう。

風邪の症状が落ち着いてもせき(咳)が残ってしまう理由

風邪に伴う諸症状は落ち着いたのに、せきだけがなかなか止まらない場合、「感染後咳嗽(がいそう)」に該当する可能性が高いと言えるでしょう。

感染後咳嗽がなぜ起きるのか、そのメカニズムの詳しいことはまだわかっていませんが、現段階では、風邪の原因であるウイルスは既に存在しないのに、せきを引き起こす神経の経路が活性化された状態が続いているためではないかと考えられています。

また、気道(鼻から肺への空気の通り道)の粘膜が、やや敏感になっていることも関係している可能性が指摘されています。

せき(咳)が止まらないときはどうすれば良い?自分でできる対処法

せきが止まらないときに自宅でできる対処法としては以下が挙げられます。

  • 市販薬をのむ
  • 室内の湿度と温度を調整する
  • タバコなどの刺激物を避ける
  • のどをいたわる

詳しく見ていきましょう。

市販薬をのむ

せきが止まらない場合の選択肢としては、市販薬を購入するのも一つの手です。

「せきの緩和」などを効能・効果とする市販薬には、鎮(ちん)咳(がい)成分や去(きょ)痰(たん)成分、気管支拡張成分、抗炎症成分などが含まれています。

効能・効果成分名
鎮咳成分
  • ジヒドロコデインリン酸塩
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
  • ノスカピン
  • チペピジンヒベンズ酸塩など
去痰成分
  • アンブロキソール塩酸塩
  • ブロムヘキシン塩酸塩
  • グアイフェネシン
  • L-カルボシステインなど
気管支拡張成分
  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩
  • メトキシフェナミン塩酸塩など
抗炎症成分
  • グリチルリチン酸二カリウム
  • トラネキサム酸など
抗アレルギー成分
  • d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
  • メキタジン
  • クレマスチンフマル酸塩など
生薬成分
  • 麻黄(まおう)
  • 桔梗(ききょう)
  • 半夏(はんげ)
  • 五味子(ごみし)
  • 杏仁(きょうにん)
  • 竹茹(ちくじょう)など

鎮(ちん)咳(がい)成分

鎮咳成分は、脳にある「せき中枢」に作用して、せきをしずめる成分です。

麻薬性と非麻薬性に大別され、いずれもせきの原因にかかわらず効果を現しますが、麻薬性の成分のほうがせきをしずめる作用が強い傾向があります。その反面、麻薬性の成分は、痰を出にくくしたり、眠気や便秘になったりしやすいなど副作用が多いと言えます。

なお、せきそのものは、痰を含む気道の異物を排出するために必要な反応です。ですから、鎮咳成分を含む薬を服用してせきがしずまればそれで良いとは、一概には言えません。

去(きょ)痰(たん)成分

去痰成分は、気道液の分泌を増やしたり痰の粘り気を下げたりして、痰を出やすくする成分です。

痰は気道に侵入したウイルスや細菌などの異物をからめとるという大切な役割をもっています。しかし痰の量が多いときは、それを排出するためにせきが引き起こされやすくなります。去痰成分はそのような状態を改善するように作用します。

気管支拡張成分

気管支拡張成分は、肺に続く空気の通り道である気管支を拡張するように作用する成分です。そのような作用によって、呼吸が楽になるように働きかけます。

抗炎症成分

抗炎症成分は、気道の炎症を抑える成分です。気道に炎症が起きていると、痰の分泌が増えたり粘膜が過敏になったりして、せきが出やすくなるため、抗炎症成分によりそれらの状態を改善します。

抗アレルギー成分

アレルギーのために生じた気道粘膜の炎症がせきに関係している場合や、アレルギーによる鼻水がのどの奥に流れ込んでせきが引き起こされているような場合(後鼻漏)に、抗アレルギー成分がせきをしずめるように働きます。

生薬成分

生薬成分は、気道液の分泌を増やしたり、繊毛運動(気道粘膜にある細かい毛が痰などの異物を排出する働き)を活発にするように働いたりする成分です。

せきの症状にあわせた市販薬の選び方

症状成分
乾いたせきが出る鎮(ちん)咳(がい)成分、気管支拡張成分 など
痰が絡むせきが出る去(きょ)痰(たん)成分、鎮(ちん)咳(がい)成分、気管支拡張成分 など
のどの痛みを伴うせきが出る鎮(ちん)咳(がい)成分、抗炎症成分 など

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室内の湿度と温度を調整する

せきが止まらない場合、家でできる対策として、室内の湿度と温度を調整することが挙げられます。

せきを誘発する因子としては、煙や冷気、強い匂いなどとともに、空気の乾燥が挙げられるため、せきが止まらない場合は洗濯物を室内に干したり、加湿器を使ったり等の対策を行うと良いでしょう。

一般的に室内の相対湿度が40~60%の範囲を保つと、感染症や呼吸器の病気のリスクを低下させるとされています。

また、温度(室温)も大切なポイントです。冬季の寒さだけでなく、急な寒暖差もせきを誘発するので、できればエアコンで屋内全体を適温に保ちましょう。

喫煙・受動喫煙を避ける

せきが止まらない場合には、気道への刺激をできるだけ減らすことが大切です。

とくにタバコの煙は、気道を刺激してせきを悪化させるだけでなく、喫煙を続けることでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器の病気につながることもあります。喫煙していてせきが止まらないという人は、生活習慣の見直しにあたり、禁煙を検討しましょう。

また、自分が喫煙していなくても、周囲のタバコの煙を吸い込む受動喫煙によって、せきが誘発されたり悪化したりすることがあります。家庭や職場などでも、できるだけタバコの煙を避ける環境を整えましょう。

そのほか、以下のような刺激もせきにつながることがあります。

  • ハウスダストや粉塵
  • 花粉
  • 冷気、寒暖差
  • 食べ物・飲み物(香辛料、炭酸飲料、アルコールなど)

これらをなるべく避けるようにして、のどや気道に優しい環境を作るようにしましょう。

のどをいたわる

・マスクをする
せきが止まらない場合、マスクをすると良いでしょう。吐く息に含まれている水分が、のどのうるおいを保つように働きます。
・飴をなめる
飴をなめることも、のどにうるおいを与えてくれます。のどのうるおいによって、のどの違和感が緩和されて随意性のせき(自分の意思によるせき。せき払い)を減らすように働く可能性もあります。
・水分をこまめにとる
せきが止まらないときには、水分をこまめにとることも大切です。体が脱水傾向になると、痰の粘り気が強くなると考えられます。粘り気の強い痰は排出されにくく、せきを引き起こしやすいため、意識的に水分補給を行いましょう。

【コラム】湿ったせき、乾いたせきってどんなせき?

せきの症状を、「湿ったせき」と「乾いたせき」に分類することも、せきの原因の絞り込みに役立ちます。
湿ったせき(湿性(しっせい)咳嗽(がいそう))とは、痰を伴うせきのことです。これは、気道により強い炎症が起こっていることを示唆している症状と言えます。原因としては、呼吸器の感染症が多く、喫煙による慢性気管支炎/COPD(慢性閉塞性肺疾患)なども考えられます。
一方、乾いたせき(乾性(かんせい)咳嗽(がいそう))とは、痰を伴わないせきのことです。感染症ではない病気によるせき、例えば喘息や咳喘息、胃食道逆流症などによるせきは、乾いたせきが多い傾向があります。

せき(咳)が止まらないときの病院への受診目安

せきが止まらない場合、重大な病気が隠れていることもまったくないわけではありません。以下に該当する場合は早めに受診するようにしましょう。

呼吸困難がある
喘息など、気道が収縮する病気が考えられます。ときには命にかかわることもあります。症状が強い場合には、救急外来の受診や救急車の要請もためらってはいけません。
濃い色の痰が出る
黄色や緑の痰は細菌感染症を示唆しています。抗菌薬による治療が必要な状態と考えられます。また、ピンク色の痰は、うっ血性心不全の可能性、鮮紅色の場合は気道のどこかで出血が起きている可能性があります。そのほかにも鉄錆色や茶色の痰や薄い色がついている痰も注意が必要です。
市販薬を使ってもせきが改善しない
原因を特定し、原因にあわせた治療が必要です。
せき以外の強い症状、または長引く症状
発熱、胸痛、体重減少、強い倦怠感、胸やけ、鼻水などが長引いている場合も、早急に原因の特定が欠かせません。
基礎疾患がある人、高齢者
もともと呼吸器の病気や心臓病、糖尿病などをもっている人、高齢の方などは、病気が重症になりやすいので、早めに受診したほうが安心です。

せき(咳)が止まらない際は、呼吸器内科を受診するのが基本

市販薬を服用してもせきが止まらない、せきが続いて眠れないといった場合は、一般的には呼吸器内科を受診すると良いでしょう。

かかりつけ医がある人なら、まずその医師に診てもらい、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらうという方法もあります。

なお、せき以外に強い症状があれば、それにあわせて診療科を選択するのも良い方法です。例えば胸やけなら消化器科、鼻水なら耳鼻咽喉科といった具合です。

せき(咳)が止まらないことに関するQ&A

昼よりも夜の方がせき(咳)が止まらない場合に考えられる原因は?

夜になってからのほうが、せきがひどくなりやすい場合、原因はいくつか考えられます。

一つは、せきの原因が喘息や咳喘息である場合です。気道は昼より夜間に狭くなりがちなため、夜半から明け方にかけて症状がひどくなりやすいことが知られています。

また、アレルギーによるせきの場合は、ふとんの中のダニなどを就寝中に吸い込むことで、せきが誘発されやすくなります。鼻水の後鼻漏も、夜間の睡眠中に増える可能性があります。

このほかにも、心不全によってせきが起こっている場合は、横になることで下半身の体液が上半身に流れてきて肺に水が溜まってくるため、夜間に呼吸苦などが現れやすいことも知られています。また胃食道逆流症も、横になった後に症状が現れやすい傾向があります。

一方、ストレスなどが関与している心因性のせきは、周りに人がいる状況で出やすく、夜、一人になると落ち着くことが多いとされています。

せき(咳)が止まらないときにどんな飲みものを飲むと良い?

せきが止まらないときには、はちみつ湯や、生姜湯、大根湯(大根のしぼり汁をいれたお湯)などが良いとされています。

はちみつには抗炎症作用があり、気道の炎症を抑えるように働く可能性があります。また、日本では昔から、のどの痛みに生姜や大根が良いと言われており、古来より家庭で飲まれています。

なお、はちみつは、1歳未満のお子様は乳児ボツリヌス症にかかることがあるため避けるようにしてください。

また、飲み物は冷たい状態よりも温めてから飲んだほうが良いとされます。そのほうが、鼻の中に水蒸気が広がり、せき症状の緩和につながるようです。

せき(咳)の症状にあわせて市販薬を選択しよう

せきが止まらないときには、痰の有無や、のどの痛みの有無などの自分の症状にあわせて市販薬を選ぶことが大切です。

また、せき症状を伴う病気は複数考えられるため、市販薬で改善しない場合や、せき以外にも気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

監修の先生(加地先生)からのアドバイス

せきを訴えて受診される患者さんはたいへん多く、また、せきの原因もさまざま。医師は患者さんの話を聞いて、非常に多くの候補の中から可能性の高い病気を絞りこんでいきます。

とはいえ、急性のせきの場合はウイルス性の感染症、つまり風邪が大半です。インフルエンザおよび新型コロナ感染症の風邪のウイルスに対する薬は存在しないため、医療機関でも基本的に対症療法(症状にあわせた治療)を行います。ですから、せきの起こり始めに、せきに有効な成分が含まれている風邪薬などを使ったセルフメディケーションで対処するという方法は、ある意味で理にかなっているといえるでしょう。

しかし、長引くせきの場合は急性の感染症によるせきの可能性が低くなり、検査により鑑別すべき病気が増えてきます。そうなってくると、セルフメディケーションの限界を超えてきますので、早めに受診するようにしてください。

参考文献
  • 南江堂2023「OTC医薬品学 : 薬剤師にできるプライマリ・ケア 改訂第2版増補」
  • 南江堂2016「プライマリ・ケアの現場でもう困らない!止まらない"せき"の診かた」
  • 呼吸器ジャーナル 66(3):2018「遷延性咳嗽の原因としての感染後咳嗽」
  • 日本呼吸器学会2025「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2025」