知っておきたい!かぜのこと

かぜ

「汗をかくと熱が下がる?」かぜに関するウソ?ホント

「かぜ」の正式な病名、ご存知ですか?
正式には「かぜ症候群」といい、上気道(のど・鼻など)の急性炎症のことを指します。症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・せき・たんなどに加え、発熱・頭痛などの全身症状もあらわれます。今回は、実は間違っていた、勘違いしていた「かぜ」に関する情報をお届けします。

監修
桜みちクリニック院長 
永武 毅先生

かぜをひいたらお風呂ってやっぱりダメ?

「かぜをひいたらお風呂はダメ!」というのが、昔は常識でした。実は、かぜ気味でも熱がなく元気であればお風呂に入ってもかまわないのです。一日を通して37.5℃以下でしたら、湯冷めに気をつけてお風呂に入って良いでしょう。お風呂の蒸気はのどに適度の湿り気を与え、皮ふを清潔にして新陳代謝を高め、さっぱりすることでぐっすり寝られるなど、お風呂に入ることの利点が最近では見直されています。

汗をかくと熱が下がる?

たまに、熱を下げるために汗をかかせようと、熱が高い子供に厚着をさせている方がいます。解熱剤を使った後など、熱が下がるときに汗をかくことは事実ですが、無理に汗をかかせても熱が下がるわけではありません。つらいだけでなく、熱がこもってますます熱が上がったり、あせもの原因になったりします。一方、熱がでるとき寒がってぶるぶると震えることがありますが、この時には、毛布でくるんであげたり、湯たんぽを使ったりして温めてあげましょう。

点滴をして栄養をつける?

ときどき、ご飯が食べられないから点滴をしてほしいと、点滴に対して過大な期待をよせている方がいます。通常、病院で行われている点滴は100kcal程度のカロリーしか含まず、缶ジュース1本分にすぎません。ですから、点滴がご飯代わりになることは期待できないでしょう。しかし、点滴の中身はイオン飲料に近いものですから、吐いて下痢をしているような場合で、イオン飲料も飲めないような場合には非常に有効です。

かぜは人にうつすと治る?

これは全く医学的根拠のない事です。
かぜが治るのは体の中にインターフェロンというかぜのウイルスが増殖するのを抑える物質ができ、リンパ球などの免疫担当細胞がかぜのウイルスをやっつけてくれるからです。Aさんが周りの人にかぜをうつして、その人にかぜの症状がでる頃には、Aさん自身は発症から既に時間が経過し、治りかけのことが多いものです。そのため、「かぜは人にうつすと治る?」という間違ったことが言われるようになったのかも知れません。 

水まくらで熱を下げる?

熱がでるとよく水まくらを使う方がいます。しかし、実際、水まくらを使ってもそれほど熱は下がりません。頭の後ろやおでこを冷やしたくらいでは、全身の熱はなかなか下がってくれないものです。もし、冷やすことで熱を下げるのであれば、脇の下や股のあたりなど数ヶ所を同時に冷やさなければ効果は期待できないでしょう。

かぜの時に注射をすると早く治る?

残念ながら、注射をしたからといって、かぜが早く治るということはありません。かぜの場合、対処療法といって鼻水やのどの痛み、熱などのかぜの症状を和らげる錠剤などの内服薬を使うことが一般的です。また、患者さんの状態によっては、かぜが悪化し、肺炎などの合併症を起こしてしまうことがあります。そのような場合には、医療機関で注射や点滴といった処置を行うことがあります。